イタリア人にとって和食とは何か?

Tripadviserで「ミラノ」「日本食レストラン」と検索すると約1000件表示される。そのうち中国人だけで経営されているのがおそらく9割5分以上。そして、日本人が関わっているとされるレストランは20件程度、日本人のみでお店を回しているのは1〜2店あるかないかだろう。ちなみにミラノ県の人口は300万人、面積は1575km2、人口密度は2004人/km2(東京都1300万人、2200km2、6150人/km2 Wikipediaより)

つまり大半のイタリア人にとっての日本食は中国人のやっている食べ放題スタイルで出てくるものなのである。ランチは10-15ユーロ、ディナーは20-30ユーロ。当然クオリティは日本のものと比べたら低いし、日本人が食べられないレベルのものもある。多くの日本人が「あれは日本食ではない」という。でも、日本も同じ状況が存在したのだ。かつて我々のピザはPIZZA-LAであったが、それをイタリア人がピザと認めただろうか?今のようなナポリスタイルのピザを誰しもが食べられるようになったのは最近の話である。

ここにはどのような流れがあるのか?

ナポリスタイルのピザはPIZZA-LAに比べたら美味しいが高い。あの小麦粉の円盤に数千円を払うのは簡単なことではない。しかし、色んなピザを食べ歩き、最高峰のピザを食べてみたいと思えば数千円は惜しくない。最高の体験をできたのであればまたリピートしたいと思う。そんなファンの力でお店は回っていき、メディアに取り上げられ、また流行っていく。イタリア人からすればピザもどきと言われるものが日本に広まって、「ピザ」をほぼ全ての日本人が認識していたためにその土壌が日本にはあったのだ。

ではミラノでもその流れは適用できると考える。一回に5000円という金額を知らないご飯に払うことができない。でも、2000円で食べ放題なら行ってみようと思える。そこそこ美味しければまた行く。次は5000円くらい払ってでも本物の日本食を食べてみようと思う。イタリア人は中国人経営だということは承知である(たまに間違っている人もいるけど…)。わかっていてそれを日本食として食べている。おそらく日本でフランス人がそこそこの値段でピザを作っていたら、フランス人とわかっていてもそこそこ流行るはずである。

文化が伝わるサイクルはこのように値段/質が上がっていき、徐々に洗練されていく。しかし、本物志向の日本人達は最初から妥協を許さない。中国人が経営する手頃な価格帯で勝負してこなかったのだ。それではイタリア人の需要にマッチできない。この現状が日本食が広めるスピードを緩めたor中国人が間違った「日本食」を伝えるきっかけになってしまった。最初から洗練された最高のものだけが流行ることはありえないのだ。今のミラノの現状は中国人が始めた日本食が広まり、その中の好奇心を持った人たちが一つ上のランクに興味を示している段階である。つまり日本食を広めてくれた中国人に僕らは感謝しなければならない。

日本食文化を本気で広めるのであれば、この現状に即した提案をしていかなければならない。文化はそんなに簡単には伝わらないし、異国の地に入り込むは非常に難しいからである。

ちなみに写真は中国人がやっている日本食レストラン。食べ放題だし、そこそこ美味しい。彼らは熱心に日本食を勉強しているのが伝わる。

参考 http://milano.metrocs.jp/archives/3804

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