髭は不快かセクシーか

昨日のミラノの中心地で、中国人旅行客の8万ユーロ(1000万円)の時計が強奪されました。被害者は33歳だそうです。先週とあるサッカー選手が罰金23億円払ってましたね。世の中の同年代は羽振りがいい人もいるようです。はい。

今日とあるニュースについて。”大阪市営地下鉄、現在の大阪メトロの運転士らがひげを生やして勤務していることを理由に最低の人事評価にされたのは不当だと訴え、大阪地方裁判所は「ひげを生やすかどうかは個人の自由で、人格的な利益を侵害し違法だ」として、大阪市に40万円余りの賠償を命じたのです。”という内容。

ミラノに最初来た時に、郵便局員がジーパンにトレーナーでドレッドヘアで衝撃を受けました。文化とはここまで違うものかと。なので、イタリアでは当然このような裁判はありません。NPのコメントだとTPOだ、なんだと言われてますね。イタリアでも、高級レストランにはドレッドヘアなウェイターはいないわけで、TPOはあるんですね。ただビジネスでの場面であれば、自然に淘汰されるわけです。採用受からない、客が来ない。逆にPubの店員にはいるわけです。ジーパンのことも多い。

考えてみれば当たり前なんですけど、当たり前じゃなく、裁判までなっちゃってる。要するに基準がない。今回は地下鉄の職員なので、ミラノで言えば日本と似たような感じで、突拍子も無い髪型やピアスの人はあまりいない、ちなみに髭はいる。でも、法律で決まってるわけではない(はず)。これは日本も同じで、リンク先にあるように弁護士に聞いてもしょうがない。彼らは「個人の自由を損ねる」みたいなことしか言えるはずがない。

イタリアで話題になるとすればそれは、「女性は髭が好きか?」「どんな髭がセクシーか?」だけです。ちなみに昔の観念で言えば髭は「信頼」の証だそうです。寝起きのボサボサな髭は絶対にNGと、どんな髭でもokなわけではないw そもそも欧米人は髭の濃さが日本人と比べ物にならないくらい濃い人が多いので、毎朝剃ってもすぐに青くなって来ます。髪より髭の方が多い人多数。そこからしても、寛容なのは当然。

では逆に寛容じゃないものは何か?タマネギの匂いです。料理に結構使うけど、そこはすごく気になるらしい。シャワーは毎日浴びないのに、そこは気になるらしい。香水めっちゃつけるのにそこは気になるらしい。この感覚がわかる日は来るのだろうか。来週でミラノに来て丸9年。

イタリアでアニメ

今週はミラノの映画館で「キミスイ(アニメ版)」を上映していたので見てきました。キミスイは2015年に出版された住野よるさんの小説がオリジナルで、2017年7月に実写映画、2018年9月にアニメ映画化されました。これを見に行くと決めたのが先週、それまで存在すら知りませんでした。浦島太郎です。FBに「キミスイ良い!」って書き込んだら、「今更何言ってんだ?大丈夫か?」コメント頂きました。自分はアニメ版の話をしているのですが、友達は実写版の話だと思っていたみたいで、全く噛み合わない。調べたら去年だからまだ半年経ってない、噛み合うはずが無いw

日本でヒットしたのは実写版、しかも原作に無い12年後の世界。桜からのhimawariか。見るしかないね。

このアニメはNexodigitalというカルチャーをデジタル(映画)化する会社で、画家や舞台、ダンス等の映像を提供しています。この秋冬は「未来のミライ」(10月)、「ペンギン・ハイウェイ」(11月)、「キミの膵臓を食べたい」(1月)の3本ラインナップで、私はどれも全く知らず。。「未来のミライ」はアカデミー賞ノミネートしてるじゃん…「カメラを止めるな」を見て、ドヤってる場合ではない…汗

最近はNetflixで日本のアニメが見られるようになったので、これからもっと日本のアニメがイタリアでポピュラーになることでしょう。今までは日本好きなオタク中心だったのが、ライト層にまで広がると思われます。現に友達のペルー人に「亜人」を進められて見たら面白かった。やはり漫画のイマジネーション、非リアリティーは最強ですね。確実に世界中の人を虜にできます。

Netflixみたいなプラットホームを日本の大手出版社で共作して、世界に翻訳バージョン売り込めば確実に売れますね。面白いコンテンツ山ほどあるし、制作費は実写に比べたら格段に安い。しかも今ならまだ日本の独占状態。なぜなら漫画にはクリエイティビティーと画を描くスーパーハードワークが求められるので、日本人向きなのです。漫画が世界中に広まって、数十年以上経っているのにまだ日本の独占状態なのは、日本人にしかできない何かがあるからです。

それはアニメや3Dなら大勢での作業が可能ですが、漫画は画がズレやすいので、難しいのかなと勝手に思ってます。そして、日本に漫画家の選手層は超分厚い(ブラジル並)。単行本出した作者が5-6000人/年いるそうです(エビデンス緩い)。この全員が漫画だけで食べてはいけないですし、他にも沢山の卵さんたちがいるわけで、膨大にいると思えます。

最近は「暗殺教室」にハマってます。あり得ない設定から、人間の成長模様を表現する感じは「クレヨンしんちゃん」に通ずるものがあります。どんな状況であれ、人間が大事しなければいけないものを表現すると人の心に響くものがあるんですね。間違えてキンドルで全巻ポチってしまったので、アニメと漫画両方で人生勉強したいと思います。

イタリアのセンター試験(的な)

日本は先週末、センター試験でしたね。僕が受けたのは15年前、あの時は雪が降ってました。慶応の三田キャンパスで、傘を校内に忘れました。

イタリアにもセンター試験的、どちらかというと卒業試験が全国統一で存在します。これに通ると大学の入学試験を受けられますEsame di stato/ maturitàと言います。今年から制度が大幅に変わるようで、今から大騒ぎです。本番は3月。ただいまシミュレーションが文科省から発表されて、卒業予定の生徒は日々勉強に勤しんでると思われます。試験の中身は後ほど書きます。

イタリアの教育省はMiurと言います。そのホームを覗いてみると、まあ可愛らしいデザイン。

イタリア教育省Miurのスクリーンショット

恐ろしいソーシャルの運用数、どれだけ力を入れてるんだ 笑。Flickrとかいるのか…日本の文科省見たら、FacebookとTwitterだけでした。これでいいかと…

新しい共通試験は2つのパートに分かれます。1つ目は長文読解、2つ目は専門分野の問題、ワイン/レストラン/ホテル関係、農業関係、科学、語学、古典とざっくり分けて進みます。長文読解は必須、ロジカルに分析/解答することが求められます。長文読解を必須としているあたり、コミュニケーションにプライオリティを置いているのがわかります。誰もが違う、しかしその中でどう自分を見出し、他者とわかり合い、共存して行くのか。イタリア人みたいに考える前に喋り出す必要はないですが、自分と他者の距離感を常に確認することは大事だと思います。

試験日は6/19-20、どうなるか楽しみですね〜

イタリア一番の金持ちは誰だ?

超ストレートなタイトルになってしまいました。本日は甲子園球児が有料(500円)舞台に上がったことで、処分が検討されているというニュースを見て、「そもそも何で高校生がお金を稼いではいけないのだろう、今は高校生が起業する時代なんだから別にいいんじゃね」って思い、イタリアの若手起業家はどんな人がいるんだろうと思って、Forbes Italia U30 のサイトを覗いてみたいらなんと、

「Oops、サイトがありません」

って、まさかの奇跡が起きまして、じゃあ国内のトップは誰なんだよということでtop3の紹介。ちなみにイタリアで金持ちのことを「Paperoni」と言うらしいです。Paperoはガチョウでそこから派生してます。なんだろうと思ってググってみるとドナルドダックのおじさんスクルージ・マクダックが出てきます。設定で世界一の長者でした。過去にはForbesのフィクション版世界長者番付けの1位になってる。そんな存在あったのか。それでは2018年のデータですが、ここ数年ほぼ変わってない。

1位:Leonardo Del Vecchio 208億ドル(約2兆2800億円)

Luxotticaの創業者。この会社はサングラスの有名ブランドを大体持ってます。ずるいです。レイバン、ペルソル、オークレイ、その他高級ブランドのライセンスもほぼ持ってる独占状態。マジでエグい。ちなみにスポーツの時はSwansのサングラスを僕は愛用してます。

2位:Giovanni Ferrero 207億ドル(約2兆2700億円)

わずか1億ドルでの僅差で2位。彼は1946年創業お菓子メーカーのFerreroのCEOで創業者の孫です。Ferreroと言えばNutellaですね、あとKinderシリーズ。他にもチョコ系がめっちゃ強い。今では日本でもNutellaが正規輸入されているので、お土産に買っていけなくなりました。Slowfoodやワインで有名なピエモンテ・アルバにあります。ファストフードではないから矛盾はしてないのかな。

3位:Stefano Pessina 119億ドル(1兆3000億円)

ちょいと離れてWalgreens Boots AllianceのVice president 兼CEO。 この会社はWalgreens(米)とBoots アlliance(スイス)が2014年に合併してできた会社で売上は1300億ドル。日本のドラックストア市場規模が約600億ドル。デカイよ。

以上、3位まで。1兆円以上持っているのもこの3人のみ、ここからアルマーニだったり、ベルルスコーニだったり続きます。電化製品のデロンギやファッションブランドのディーゼルの創業者もTop10入り。日本の長者番付と比べると孫さん(2,29兆円)、柳井さん(2,21兆円)、サントリー佐治さん(1,88兆円)、キーエンス滝崎さん(1,84兆円)と上位陣を見るとかなり互角。ただ分野が違うから見ていてお国柄が出てるって感じです。ちなみにGDPを見ると日本の方が倍以上あります。

ForbesのUnder30の雑誌が手に入ったらまた紹介します。

イタリア人の「好き」はしょうがないんです

よく日本人が「イタリア人が考えていることがよくわからない」、逆にイタリア人が「日本人考えていることがさっぱりわからない」と、よく(愚痴を)聞きます。とりあえずどちらに対しても「そうだよね、異文化って理解しづらいよね」と答えます。そりゃロジック(論理の組み立て方)が違うから、どうやっても分かり合えるはずがない。よく聞く事例は、日本人は予定通りにしか進められない、イタリア人は直前まで何も決まらないなどです。イタリア人的には状況は刻一刻と変化するんだから、ゴールがざっくり決まっていれば、フレキシブルに対応した方がいいよねって感じ。それを理解できず許せない人は多いようです。逆にイタリア人にも「もう二度と日本人とは働きたくない」って、言われたこともあります 笑

こういうのはお互い様です。どちらが正しいも間違いもありません。それを理解するのは異文化で3年くらい生活しないと無理だと思います。ただ「違う」ということは予め知っておいて損はない。それを納得できる例として、以下のTEDはめっちゃ面白い。

アメリカの大学教授でベラルーシ生まれのトークです。1976年生まれとは思えない美貌。日本であればは〇〇過ぎるなんちゃらってなりそうですね。彼女の研究は「言語はどのように思考に影響を与えるのか」ということ。ここで例として出てくるのは「左右」の概念がなく、「全て東西南北」で表す言語。「東の手」はクルッと反転すると「西の手」になるわけです。常に頭の中に方角が入ってます。きっと道に迷うことが少ない人種だと思われます。

最後に出てくる例は、美術館で男の人が屈んだ時に、意図せずにお尻で壺を落としてしまうシーン。英語では「He broke the base.」でも、スペイン語では「壺が壊れた。」英語では主語「誰が壊した」かを大事にし、スペイン語ではそこに意図がなければ「壺が壊れた」という表現をします。当然、イタリア語も似ているわけですが、この「意図」という観点に注目すると他の例も出てくる。例えば英語で「I like it.」、イタリア語では「Mi piace.」、スペイン語では「Me gusta.」、フランス語では「Ça me plaît.」です。英語以外は分の構造は同じで、主語があったり無かったりしますが、「それ(it)が、私に好きにさせた」と表現します。

つまりラテン人にとって、好きになるというのは内在的なものでなく、外的要因なので、自分ではどうしようもないことなのです。例えばミスが起こったとすると「Mi spiace」という表現があります。構造は上の分と全く同じで、謝ってる場合もなくはないですが、「残念です」みたいな感じになるので、時にめちゃくちゃムカつきます 笑。ちなみに本当に謝るときは別の表現あります。

私「荷物届いてないんだけど、どうなってるの?」

受付「なんかトラックが故障しちゃったらしいのよね、Mi spiace(残念だわ)」

こんな対応はザラです。日本人はならイラっとくるはず 笑 まあこれも言語の構造が思考に影響を与えていると考えれば、乗り越えられるかもしれません。