どうなるアリタリア!?

イタリアらしさを最も象徴してる会社と個人的に思っているアリタリア航空。当然、今回のコロちゃん騒動の影響で多大なるダメージを受けております。

サクッと会社説明をしますと、アリタリアはイタリアのナショナルエアラインで、潰れそうなために国の政府管理下(amministrazione straordinaria)にあります。詳しい歴史はwikiをご覧ください。めっちゃ詳しいです。

ハイライトは、同時多発テロ以降の経営悪化による国有化(政府が株式の49%保有)、2007年、エールフランス-KLMに買収が決まりかけるも労働組合の反対により断念。その後、紆余曲折。2014年にエディハド傘下になるも2017年に再度経営破綻し、政府管理下へ。

この度6月より、国有化が始まり(今までと何が違うんだ…)、運行を再開します。ソーシャルディスタンスが必要なため、1/3から半分の座席しか使えません。エコノミーでNYまで片道1200ユーロ…ローマとミラノから飛ぶ予定です。さらに5/20付けでスカイチームから脱退したことが報道されています。今までスカイチームでエアフラとアリタリアでマイルを貯めてきたのでショックです…涙

国有化に伴い30億ユーロ(3600億円)の融資が決定し、かいつまんで記事をご紹介します。「今回の融資にプランは全くない。ただ、ルフトハンザ(ドイツ政府から90億ユーロの融資)やブリティッシュエアウェイズに対抗したいだけ。」これだけの融資は前例がなく、アリタリアの資産は多く見積もっても18億ユーロ。そして、過去45年で126億ユーロの融資を受けてきました。この金額はイタリア人一人当たりに換算するとなんと210ユーロ/人に。

過去に乗客の荷物をくすねて計86人が逮捕されていたり、物凄いブラックな会社であります。労働組合が無駄に強い。イタリアが経済に弱い理由は確実にここにあるので、いつか触れたいと思います。そして、これからもアリタリアらしくあってほしいと思います(他人事)。

イタリア人に外国人どれだけいるのって話。日本人もね。

ちょっと前にスイスの話を書いて、外国人の数にビビりました。国民の25%ってなかなかの数字だと思います。それでイタリアはどれくらいいるの?って話で、イタリアに居住する8.5%が外国籍でした。今回はその数字の深掘り。ちなみに日本での外国籍の割合は2%です。

個人的な印象としては、中国人はよく見ますし、レストラン等で働いているのはフィリピン人が多いイメージです。コミュニティも大きい。統計(イタリア統計研究所)を見てみるとちょっと意外でした。

外国籍人数割合
20052.405.1574.1%
20104.235.0597.0%
20155.014.4378.2%
20195.255.5038.7%
Tuttaitalia.itより
Grafico andamento popolazione stranieri Italia
Tuttaitalia.itより

2014年までに段階的に増えています。EU域内において、2000年以降、国間の移動が楽になりました。2019年はヨーロッパが半数をしめ、アフリカとアジアが20%ずつです。

割合
ルーマニア120万人23.0%
アルバニア44万人8.5%
中国30万人5.7%
ウクライナ24万人4.5%
フィリピン17万人3.2%
国別順位

国別に見ると一番多いのはルーマニア、1.206.938人です。外国人全体の23.0%を占めます。ルーマニア語はイタリア語に近く、彼らはイタリア語をかなり理解できます。僕は全くルーマニア語はさっぱりですが…笑。何か犯罪があると「またルーマニア人か?」と、差別的に発言する人もいます。日本の「在日」的な感覚ですね。ルーマニア人の数は2005年から2019年にかけて100万人以上増えています。そして、アルバニア(441.027人)です。

しかし、自分の人間関係を考えるとルーマニア人、アルバニア人の友達は皆無。一人だけ学生時代のルーマニア人の友達がいます。友人関係でも聞くことはありません。

そして、3番目は中国で30万人。ちなみに「中国人は死なない」と言われています。イタリアに住民票を移し、その人が亡くなったり、イタリアを出たとしても、そこから誰かにこっそり引き継がれるので、中国人の人数は減らないという意味です。本当かどうかは知りません 笑

4位はウクライナで24万人。近所にウクライナ系正教会の教会があったりするのも納得です。フィリピンは5位(17万人)でした。

ちなみに日本は7847人で54位です。男:2253人、女:5594人と女性の方が多くなっています。

男性女性合計
2005年2.2383.8756.550
2010年2.5505.0167.566
2015年1.9914.6559.812
2019年2.2535.5947.847
イタリア在住の日本人の数

女性がかなり増えています。国際結婚の影響でしょうか。ミラノを見ていると駐在の方が増えている印象はあまり受けません。完全に個人的な推測ですが。それにしても2015年はミラノ万博もあったし、一時的でも増えてて良い気がするのだが…

日本人の内訳はロンバルディアが35%(2.712人)でトスカーナ州とラツィオ州がそれぞれ17%、E.ロマーニャ州、ベネト州、ピエモンテ州が各5-6%です。どこの州も女性が半分以上多いのですが、ピエモンテだけは男性の割合が少し多いです。それでも男女比が4:6にも満たないですが…おそらくここは料理や食品業界の方が多くいるからではないでしょうか。

日本男児よ、もっと世界へ!!こんな時期だけど…

5/15時点、Fase 2( 5/18〜)

ハイライト:カフェ、レストラン、美容院が再開予定。5/15夕方新たに政府から発表される予定。

【論点】
*友達とレストランに行けるのか
*セカンドハウスに行けるのか
*州を跨ぐ移動は5/25 or 6/1か?
*州が自由に決めることができる。しかし政府が介入をできる権限を持つ

【ロンバルディア】
カフェ、レストラン、美容院が再開予定
入口で検温
INAILからの詳細待ち
Confcommercio Milanoの調査によると再開可能な会社のうちの1/3が、引き続き自粛する
65%が再開の意思を持つ
100%近くの再開意思を持つのは家具、宝石系。97%の衣料店
50%:旅行業
45%:フィットネス
29%:ホテル業。*Federalberghiによる

【ピエモンテ】
月曜日に全ては開かない、慎重。

【リグーリア】
全部開けたい。海岸を含め。

【ベネト】
全部開けたい。ジム、スポーツセンター、プール、海岸。観光目的と考える。

【バレダオスタ】
山スポーツはすでにok、アーチェリー、テニスも。
カフェ、レストラン、個人サービスは5/18再開予定。
5、6月中の学校再開も検討中。

【フリウリ】
5/18から人と会えるようになる。
ただし、ソーシャルディスタンスやマスクなどの防護は必須。
ジムは開けたい。
ジムや美容院も再開予定

【トレンティーノ】
5/15にお店が再開済み。
5/18からカフェ、レストラン、エステ、美容院
ボルツァーノに並ぶ(5/9よりお店、5/11よりカフェ、レストラン、床屋)

【E.ロマーニャ】
ビーチパラソルは12m2に一つ。
5/18より、お店、カフェ、レストラン、美容院、エステ、タトゥー、マーケット。
自治体でビーチへのアクセスの制限を行う。

【トスカーナ】
慎重。すべての検討を慎重に行ってから決める。

【マルケ】
5/18よりカフェ、レストラン、ショップ、マーケット、キャンプ、美容院
5/29より海開き予定

【その他】
アブルッツォは首相令前にすでにテイクアウトの提供を認める。
ウンブリア、モリゼ、バジリカータは検討中。

【ラツィオ】
ビーチの半分はオープン。
慎重に再開予定:店内飲食、個人サービス、(食品を除く)カウンター販売、スポーツセンター:外でのアクティビティ。ただし更衣室/シャワーは使えない。
海岸は半分が解放されている、個人スポーツは可能、ただし複数人数、海水浴は禁止。
ローマは含まれていない、5/18予定。

【カンパーニャ】
健康省とINAILの方針に従う。

【プーリア】
5/18より床屋、エステ再開
ビーチや海水浴はまだ閉鎖
個人スポーツはすでにok
犬と馬の調教はok

【カラブリア】
5/18よりカフェ、レストラン(外でのテーブル)再開予定

【サルデーニャ】
美容院、、エステ、服屋、靴屋、香水屋、宝石屋は5/14に再開済。
県議会はRtが0.5以下なので再開を迫られている。
5/18よりビーチ再開予定。
6/15には観光業を再開したい

【シチリア】
5/31まで入島禁止。住民票がある人、家族がいる人は除く。
床屋、美容院、ショップは5/18再開予定。
ビーチのオープンは検討中

参考:https://www.ilsole24ore.com/art/dalla-lombardia-sicilia-ecco-piani-riapertura-regioni-lunedi-ADBqA6P

日本の「豊さ」はどこから来るか?

今なお続くコロナ渦中、「自粛をして経済を止めるべきか否か」という議論が頻繁に行われている。ヨーロッパもアメリカも徐々に解除に向かっている中、日本の政府の動きは止まっている。ちなみに昨日5/12までのイタリアにおける新型コロナウィルスによる死者数は30.911人、日本は657人。日本の人口はイタリアの倍。これだけで既に何故、緊急事態宣言が延長されているのか、全く意味はわかりませんが、納得できない方が多い模様。

今回はどうして日本が便利で、豊かなのかを考察してみたいと思います。特にデータなどのロジックはありません。

経済はお金を回すことによって成り立ちます。つまり、生産活動やサービスを作って、それを思いっきり消費することで、社会にお金を回していきます。経済活動は日本国内でも海外へも行われています。その総計がGDPであり、日本は10年前まで世界2位でしたが、現在は中国に次ぐ3位。中国との差は倍以上開き、3倍に近づきつつあります。一人当たりGDPでも2002年まで一桁順位をキープしていたものの、現在は26位。人口も少子高齢化し、現役世代は少なくなるばかりではっきりいってヤバイです。

しかし、当然GDPが豊さの全ての指標になるわけではないので、その「豊さ」とは何かということですね。ここでは「便利」「安全」に重きを置いてみたいと思います。海外に住むと気づく便利さの一つにコンビニがあります。24時間営業でなんでも売ってる。とりあえず生活の中で困ったら、ここに駆け込めば何とかなります。このコンビニを1件だけ自分で全て運営しようとしたら、莫大なコストがかかり、おそらく全ての値段が高級デパートのプライスを軽く超えてきます。そこで数を増やして効率化しコストを下げる。

ない国があるってことは「なくてもいいものがある」ってことですよね。日本にもコンビニがない時代は当然あったわけで。このコンビニによりどれだけ多くのエネルギーが消費され、人が雇用され、ものが動き、経済に貢献したことか言うまでもありません。

さらに「電車」。ミリ秒単位で到着する山手線は本当に凄いですよね。1時間遅れないようにするコストと1分遅れないようにするコストには雲泥の差が当然あります。そのおかげで値段が爆上がりするわけですよね。でも、大量の人が使うのでそこまで高くない。新幹線も静かで、綺麗で、早くて快適です。でも、チケットの値段は超高いです。沢山の人が利用しても、諸外国に比べて圧倒的に高い。

次に「小包装」最近、ようやく注目を浴びるようになってきましたが、イタリア来て何度も「え、包装はこれだけかよ?」って最初は思いました。でも、慣れます、食品でもお腹が痛くなることはまずないです。日本にはいくつもの包装に関連する会社があって、多くの人の生活が成り立っています。

経済を止めると言うことは、この日本の豊さを放棄することになります。これは「良い悪い」ではなく「選択」です。日本は様々にアイデアを出して、それを実践して豊かになっていきました。経済が止まれば、当然税金の収益も少なくなるし、医療費や社会保障費に回せなくなります。砂漠の上に病院は成り立ちません。これからさらに少子高齢化が進むと、社会保障システムを支えられなくなります。そもそもコロナなくても支えられないと言われていますが…

できることは「豊さ」の指標を変えることかもしれないし、より効率的に経済を回すことかもしれないし、経済基盤を補強することかもしれない。しかし、経済を止めて、今の豊さを継続することは不可能だと思います。

お隣さん、スイスの状況を比べてみる(コロナ)

4/28時点で、イタリアのコロナウィルスにおける死亡者は27.359人になりました。昨日も382人が亡くなっていますが、かろうじて400人以下で踏ん張っています。

さて今日はミラノから車で1時間、隣国のスイスの情報を見てみたいと思います。

スイスイタリア
人口857万人6036人
死亡者数1699人27359人
死亡者数率/100万人当たり196人453人
死亡者平均年齢84歳80歳
死亡者男性比率58%63%

イタリアの方が悲惨な状況なのは明らかですけど、死亡者の平均年齢は差があるとみるか、ないとみるか微妙なところ。男女差はどちらの国もあります。そして、9割以上基礎疾患があるのも変わらないし、若者がほぼ死んでないのも当然同じ。

スイスという国はヨーロッパでは珍しい点がいくつかあります。独自通貨、永世中立国、公用語がドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンス語と4カ国語ある等。よってドイツ、フランス、イタリアに国境を接しています。言語話者の割合はスイス連邦議会のサイトより2000年時点で、ドイツ語63%、フランス語22.7%、イタリア語8.1%、ロマンス語0.5%で23.3%が4つ以外の言語を母国語としている。

そして、今回最もやられている地域の分布図は

地域別、10万人当たりの感染者数

フランス語圏とイタリア語圏が中心!ドイツ語圏がマジョリティにもか関わらず、集中しているのフランスとイタリア語圏。ドイツ語圏の中ではチューリッヒがフランス語圏の先端にはジュネーブがあります。イタリア語圏には大きな年はありませんが、ミラノや北イタリアと経済圏が近く。北イタリア在住でスイスで働いている人は多くいるんですね。スイスは非常に給料が良いためです。

スイスで一番大きい都市のチューリッヒ(人口365万人)は3位で後は全てフランス語圏とイタリア語圏。人口で2位ジュネーブ(180万人)と倍離れています。やはり文化的な差が何か影響しているようにしか思えないですね。高齢者の社会的活発性とでも言えるような何かが影響しています。もしくは栄養が偏り過ぎている?

スイスの考察は非常に興味深いです。

イタリア首相コンテ、Fase 2(フェーズ2)段階的解除発表

昨日4/26、イタリアのコンテ首相の会見が行われました。段階的解除の具体的なプランが明らかになりました。個人的な感想としては、かなりビクビクしながらのプランです。高齢者に言及できないのは相変わらずです。

4/27の死亡者333人、昨日の260人から少し増えてしまいましたが、二日連続で400人を下回りました。3/17以来です。

さて下記がフェーズ2の概要です。原文はこちら。誰か全訳していただけると助かります。僕にはできませんので、24oreから要約抜粋です。ちなみに首相令のことはDPCMといいます。Decreto del Presidente del Consiglio dei Ministriの頭文字です。直訳すると閣僚会議首相令。

  1. 繊維業、自動車産業、ガラス、家具は5/4より再開
  2. 林業4/27より再開
  3. 親族への訪問はok、ただし団欒はNO。州内限定
  4. 公園の開放は5/4より
  5. スポーツは2m以上の距離を保ちながらok。
  6. プロ選手の練習再開
  7. 美術館/図書館、ショップ 5/18より再開
  8. ミサは引き続き禁止、しかし葬儀はok
  9. レストランは持ち帰りのみ可
  10. 海外からの入国者は14日間自主隔離
  11. レストラン、カフェ、美容院、エステは6/1より通常営業

その他

  • マスクの値段は50セントでfix。
  • 37.5度以上の熱であれば外出禁止
  • 葬儀の参加者は15人以下

結局、私生活があまり変わらないことに不満が募ってますね。友達に会うのだめ。外食もエンターテイメントも何もない。政府側からすると当たり前ですけど、市民からするまだまだ続く流れにグッタリでございます。要約美味しいカプチーノが飲めるのが唯一の救いでしょうか?「facebookで6/1まで髪が切れないのか…涙」とポストしたら、美容師の友達から「髪を切らせろ〜涙」とメッセージ来ました。お互いに辛いのです。なんのために自粛してるんだか…

さて、このfase2の発表で、一つ議論になっていた項目があるんですね。それは(3)です。congiunti:親族、縁者という表現が使われているのですが、結局これはどこまで認められるの?って話です。血縁や婚姻関係あれば当然問題はないものの。恋人や婚約者は?めちゃくちゃ曖昧。

記事ではおそらく認められるだろうと非常にグレーな感じで終わっていますね。近日中に発表があると思います。

スウェーデンの幸福世界一の哲学「ヤンテの掟」

3/27、イタリアのコロナウィルスに因る死亡者は969人と過去最高を記録しました。合計死亡者は9134人。ここ3日間で数字が安定していた分、ピークが来たと願っていたのですが、来ませんでした。スペインもかなり厳しい状態です。本日の死亡者が773人で、合計が5000人を超えています。ちなみ中国は3292人の死亡者です。

スペインの保険省は中国企業から購入した簡易検査キット約58000個を返品したようです。誰もが喉から手が出るほど欲しいものが返品されるとは…

一方で、相変わらず学校で授業が行われ、会社もリモートを増やしつつ平常運転。ロックダウンがされていない国がスウェーデンです。ニュースの裏を取ろうとサーチして見ましたが環境活動家のグレタさんしか出てこない。

本題です。先日、スウェーデン在住9年の方にインタビューを行いました。詳細は下記のリンクから。

インタビュー後半もありますのでぜひ。

我々のイメージとしては、憧れの先進国。教育、医療、ITなどまさに近代的なイメージ。人口約1000万人と小回りの効く、多くの日本じが憧れる現代的な国家のイメージです。

ですがやはりイメージと現実は違うものであり、私の知らない長所短所が沢山ありました。その中で一番気になったのが「ヤンテの掟(Law of Jante)」です。北欧通の中では、常識中の常識だと思われる10カ条です。

そして、もう一つ結構な人が北欧って一括りにしちゃってますけど、それぞれ文化が違って差が見えると面白いです(その動画はまた後日)。東南アジアをまとめられるのと一緒ですよね。顔もそれぞれ違うらしいのですが、私は少なくともわかりません…(仕事でストックホルムとコペンハーゲンは何度も行ってましたが…)

話は戻りまして、こちらがヤンテの10カ条です。wikipediaより引用。

自分を一角の人物だと思ってはならない

自分のことを、私たちよりも優れていると思い上がるな

自分のことを、私たちよりも頭がよいと思ってはならない

自分のことを、私たちと同じくらい価値があると想像し、自惚れに浸ってはならない

自分のことを、私たちよりも多くを知っていると思ってはならない

自分のことを、私たちよりも重要であると思ってはならない

自分のことを、大物だと思ってはならない

私たちの事を笑ってはならない

私たちの誰かが自分のことを気にかけていると思ってはならない

私たちに何かしら教えることができると思ってはならない

「自分だけが良ければいい」ことに対して批判的で、謙虚な部分が日本人のメンタリティと非常によく似ています。多くの日本人に好まれる理由はここから来ている気がします。これは1933年の実話小説で登場した10カ条です。

常日頃からミラノで生活していて「自分さえ良ければそれでいい」文化を痛感している自分にとって、同じヨーロッパでも飛行機で数時間飛ぶだけで、ここまで違うものかと感心しました。でも、寒いのはちょっと厳しい…

コンテとマクロンのスピーチを比べてみる。

3/13現在(昨日比) 死亡者:1266人(+250) 現在感染者:14955人(+2116) 完治:1439人(+181) 感染者、完治者は検査数に比例、一方死亡者は緩やかに上昇。本日の検査数11477件。

スペインあたりが怪しくなってきましたね。フランスも黄信号。ラテン系は家族の繋がりが強いから、世代間を超えて感染してしまう。一方でドイツは踏ん張っていますね。数字からだと結果論なので、非常に見えづらい。全部の国をカバーするのは不可能です。

一昨日、イタリア首相コンテの会見がありました。昨日、フランス大統領マクロンの会見がありました。この二人のスピーチの中身があまりにも違ったので紹介したいと思います。

まずはイタリア首相コンテさん(55歳)

  • 会見時間は9分。
  • 医療従事者への感謝
  • 国に現状に触れる
  • 全イタリアを封鎖
  • 全てのお店(バール、レストラン、美容院等)を営業停止
  • スーパーと薬局は営業。だから焦るな。
  • 必要な場合を除き、家から出ては行けない
  • 習慣を変えるのは難しいが、2週間頑張ってくれ
  • イタリアは誇り高き国だ、今こそ全員で乗り切ろう

的な内容でした。一方でフランス大統領のマクロんさん(42歳)

  • 会見時間は25分
  • 国の現状に触れる
  • 医療従事者への感謝
  • 怒る/不安になる必要もない→国民を落ち着かせる
  • 科学的に基づいた対応をし、ウィルスと闘う必要がある
  • 一番大事なことは「脆弱な人を守ること」:70歳以上、呼吸器系に疾患がある人
  • 上記の人とのコンタクトを最小限にすること
  • 次に大事なことは、拡散を防ぐことである
  • そのために3/13より学校を閉鎖する。期間は未定。
  • 会社はテレワークにし、必要な場合は距離を保つ。
  • 集会は最低限にしなければならない
  • 健康に値段は付けられない、政府はありとあらゆる手段で病人を助ける
  • 我々はEU全体で、研究を進めている
  • 経済的に困難が生じることはわかっている。失業や給料は国がサポートする
  • EU全体でウィルスの蔓延を阻止する
  • 二つ守ってほしいことがある
  • ナショナリストになってはいけない。これはEU全体の問題
  • 個人主義に走ってはいけない。「私」ではなく「私たち」の国としての問題
  • 手洗い、消毒を心がける。握手やハグはしない。人との距離を保つ。これが人の命を救う。
  • もう一度、お年寄りを最優先に守る。家族かもしれないが会うのを控える。胸が張り裂ける思いだろうが、必要なことなのだ。
  • 私は国民全体のことを考えている、国として。

と、両者にはかなり差がありました。マクロン大統領のスピーチは論理的、シリアス、フランスとしての誇りを感じさせるものでしたね。字幕や手話でのダイバーシティへの配慮から始まり、EU全体への言及もあり、経済面での言及と、ハイライトがしっかりしていました。久しぶりのフランス語にだいぶ苦戦しましたが、内容も非常にわかりやすくなっていました。

一方でコンテ首相はハイライトが政策の二つで、内容も今一つ。政策の論理的な説明もありません。中身の濃度が明らかに違い過ぎる。今回のコロナは、「若者には風邪以下」「基礎疾患のある高齢者には殺人ウィルス」の二面性があり、明らかに脆弱者を隔離する必要があります。そこを論理立てて上手く説明できるマクロンはデキるな!って感じですね。

フランスはこれからが正念場ですが、どうなるか見ものです。

3/12 現在のイタリアのコロナ状況を多角的に考えまくる(その2)

昨日のブログ(その1)を読んでから今回のを読んでいただけれると、スムーズに今回の「その2」に進んでいただけます。

イタリア:3/12現在(昨日比)、感染者数12,839人(+2249)、死亡者数1,016人(+189)、完治数1,258人(+213)、計15,113人(+2651)検査数が昨日今日で50000超え。検査しまくる方針は変わらないようです。

24ore

赤:合計、ピンク:感染者、黒:死亡者、緑:完治者

日当たりのデータなので、減れば下がります。3日前に感染者数が減ったように思われますが、死亡者数は変わらず、感染者数が減っただけ。検査数が少ないのでそこに比例してます。

さて本題です。今回は文化的観点から。つまりイタリア人の特徴から見ていきましょう。今回のイタリアの医療崩壊は重症患者をICUに受け入れ切れないことにあります。中心は「高齢者」です。つまり高齢者はどのような行動を取っているのかが重要になります。

イタリアの年金受給は2020年現在、67歳からです。今回の死亡者の平均年齢は81歳(1週間前の発表)ですので、年金受給者の行動パターンが大事になります。まず彼らはどこにいるのか?何をしているのか?それは、

Bar(カフェ)にお友達みんなで集まってお喋りしたり、カードゲームしたり。これは結構イタリア全土で見られます。そして、リモートワークが開始された3日前もちゃんと見られました。こちらは3/10の僕のツイート。

このような光景が北イタリアで見られるとすると、彼らの中にスプレッダーがいたとすると恐ろしいことになります。ハグやらキスやら、大声で唾を交換しまくりで長時間一緒にいるわけですから、確率はかなり高いわけですね。さらにはタバコまで吸ってる人も多い、副流煙にも慣れてる世代なので確率はさらに高まります。日本では「孤独死」という言葉があるくらいなので、文化が全く違うわけです。つまり社交的な人が多い。一方、ドイツはというと、

あまり社交的ではないようです。こちらはドイツ在住のイタリア人のツイートです。感染者が若い人中心、高齢者は孤立してるとのことです。日本に近いものがあります。現役世代は当然動き回るので感染率は高くなります。しかし、感染者の死亡率は世界的に0.2%ですで、大半は無症状or軽症で終わります。

しかし、現役世代が高齢者と多く関われば、高齢者への感染率が上がる。つまり「社会的に高齢者が孤立」していルことが、今回のコロナ騒動では優位に働きます。イタリアの現場はというと、現役世代が親世代と住んでることも多く、孫と一緒に暮らしている人も多い。特に北イタリアでは仕事があるので、一人暮らしをする必要が全くない。一方、南出身の人たちは仕事がないから、北へ出て来ているので、一人暮らしの人が多い。

ミラノに留学した時、驚いたことの一つとして、イタリア人は週末に実家へ帰る!学校に大きい鞄で来て、そのまま数時間バスや電車に乗って実家へ帰ります。家族の繋がりがめちゃめちゃ強い。日本人的感覚からするとありえない 笑。逆におじいちゃん、おばあちゃんからすると、

と、なるわけですね。なので、家でもキス/ハグしまくりだと思います。子供たちが持ち帰ったウィルスが感染する可能性はめちゃくちゃ高い。結果、

子供や孫から誰かが感染→日々のBarでお友達に感染

のパターンがかなり多いのではないでしょうか?学校は2週間前に閉まりましたが、Barは最後まで開いてました。まずはお年寄りを守る政策が完全に欠けてるんですよね。昨日のイタリア大統領のスピーチにもその視点はなかった。そして、今日のフランスのマクロン大統領は最初に「まず守るべきは脆弱な70歳以上」とはっきり明言していました。

イタリアは何をすべきだったかというと

「高齢者の隔離」

です。物理的にしないまでも、その注意喚起を絶対にするべきでした。「ただ距離を開けて」「手を洗って」では全く伝わらないし、足りない。今回はただのインフルじゃない!と、いうのは悪くないと思いますが、今回のコロナは高齢者との相性がすこぶる悪い。学校やリモートワーク推奨もありだとは思いますが、まずは高齢者への注意がないと意味がない。

次回はイタリアとフランスの大統領のスピーチを見比べて、政策の違いを検証してみたいと思います。では!

3/11現在のイタリアのコロナ状況を多角的に考えまくる

昨日時点での、総感染者数1万人超え、死亡者631人、完治数約1000人。すでに医療崩壊してることが間違いない状況で、数日前からトリアージも行われ、死者数が右肩上がり。この悲惨な状況はどうして起こってしまったのか、ありとあらゆ情報をまとめました。結論は大きく分けて二つあり、一つ目は経済的政策のミスで検査のし過ぎ、そして二つ目はイタリア人の振る舞いや性格の特徴である。

まずは日本との基本的な数値の比較から。人口と3/11(水)12時現在の状況

日本:人口1.2億人、総感染者数:552人、死亡者12人、完治数102人、検査数9195。

イタリア:人口6千万人、総感染者数10149人、死亡者数631人、完治数1004人、検査数60741。

https://www.populationpyramid.net

医者の数(千人あたり)、 日本が2.4人、イタリア4.0人 ナースの数が1000人あたり、 日本:11.3人、イタリア:6.7人 病院のベッド数が1000人あたり、 日本:13.1、イタリア:3.2 日常喫煙者(15才以上) 日本:17.7%、イタリア:19.9%。ただし日本はナースの数が実際の数はかなり少ない(寿退社等を考慮されてない)のではと、友達の医者談。ICUの数はイタリアは千人あたり3つと先進国の中では少なく元々のキャパが少ない可能性も大。

少子高齢化の進む二カ国、はっきりと明暗が別れる形となりました。日本とイタリアで死亡者数が60倍以上離れてしまいました、人口比率を加味すると、日本の人口の半分なので120倍。死亡者は圧倒的に疾患を持った高齢者です。これは世界共通。イタリアも死亡者の平均年齢は81歳、高血圧、心疾患、糖尿病の疾患がある患者が多数と発表されています。そもそものイタリアの平均寿命は82~3歳ですが…そして、そもそも平均年齢が低い、高齢者の少ない国はそもそも死亡者がほぼ出ません。

https://www.worldometers.info/coronavirus/coronavirus-age-sex-demographics/

この状況はすでに結果ですので、初動の段階のどこに要因が考えられるのか。ここで一つ目のトピックとなります。つまり「検査」ですね。検査の数を絞った日本と検査を積極的に行ったイタリア。ここでまず分かれました。結果的に検査は多くしない方が良かった。その理由は二つあって、一つ目の理由は「検査の精度」。日本ではPCR検査、イタリアではtampone(タンポーネ)と言われてますね。どちらも同じものです。2つ目はウィルスが新型だから。

PCR検査の精度(感度と特異度)は30〜80%とばらつきがあり、本来であれば事前確率(熱や咳が数日続いている症状等)に加味して検査を応用し、診断を下す。この場合の検査はあくまで参考値です。骨折とかなら間違い無いだろうけどね。そもそも「検査」というのものは、医師が診断を行うために必要なもので、決して希望者に行うものではないのであります。話を戻して、この精度の生で偽陽性(陽性なのに実は陰性)と偽陰性(逆パターン)が生まれます。

そして何よりめちゃくちゃ手間がかかります。まず綿棒のようなもので喉の奥をグリグリします。これがちゃんとできないとウィルスがいるかどうかわからない。次にこの粘膜を試験管に入れて、ウィルスの増殖させます。そしてようやく判定ができる。日本の院内検査出来るところで、早くて一日 数時間。イタリアがこれより早く出来るとは考えづらいですね。これを1日に、何百、何千とこなす事になる。リソースが取られます。現場疲弊します。精度が落ちます(少なくとも上がることは無い)。(追記)さらに検査時の適切な防護服着用が疎かになり、検者の感染率が増加→被験者の感染率アップの懸念。

次に仮に陽性でも症状がなければ自宅待機、症状が軽くても自宅待機で8割以上はこれのどちらかです。特効薬は無いので、治療法が無いのです。なので、基本解熱剤や咳止めを飲んで自宅待機。そして勝手に治る。イタリア人の性格を考えればパニックなって病院に押し寄せ、院内感染をさらに加速させることも大いに考えられます。大半の人はこれで終わります。陰性の人は晴れて街に繰り出し、偽陰性の場合はウィルスを盛大にバラまく事になります。

よって、希望者全員に検査をする意味は全くない。2/28にイタリアも症状のある人だけに絞るように政策を変更しました。それでもトータル6万。ちょっとおかしい…感染症専門の医者友達に聞いてもやっぱり異常。結果、病院はパンク。現場からの悲痛な叫びが聞こえてきます。3/9の時点でトリアージのニュースもありましたし、本当に悲惨な状況が続いています。

長くなりましたので、二つ目の特徴は次回に!