中田氏が六本木でお酒のイベントをやっていますね。僕の中で彼は完全に「お酒イベント屋」なわけですが、他にも何かやっているのかな。知りたい。「日本の文化のプロになる」と言っているみたいですが、今後に期待です。コネとネームバリュー半端ないんで、個人的には世界でゴリゴリやってもらいたいです。
それでもって、今日は「お酒」の話。前回の「パン」にも通ずるところがあります。Expo中にいろんな日本酒に携わるイベントをやりました。酒蔵さんにもたくさんあって、話を聞いたり、日本酒に詳しいイタリア人もそうでない人ともたくさん話をしました。可能性がたくさんあります。でも、問題もたくさんあります。何か?
- 日本酒のイメージ
- 日本酒はわかりづらい
- それを伝える人がいない
- 販路が狭い
まず日本酒は、すごく強いお酒って思われてるんです。焼酎みたいなイメージを持たれている。だから日本酒を勧めただけで「いや、そんな強いアルコールは結構です」って、言われてしまうことが多々あるんです。美味しいとか以前の問題っす。だからまずそこから説明を始めないといけない。比較は当然「ワイン」ですね。相手の食卓に当て嵌めてあげればいいわけです。「ワインと同じ度数ですよ〜」「へえ、そうなんだぁ」という下りを死ぬほどやりました。そして、飲んでもらうと「意外と飲みやすい」となるわけですね。
本醸造やら純米やらは彼らからしたら「??」です。まずブドウには「磨き」の概念がないですし、発酵させたのに「違うアルコール加えちゃうの??」って感じです。ここを説明するのは非常に大変。さらには掛米、酒母米、麹米…そして「何よりも水が大事!」とか言い始めてしまうと、もう勘弁ってレベルなわけですね。非常に複雑なわけです。だから「杜氏」がものすごく重要視されるわけですが。一方ワインは、カンティーナ、地域、畑、ぶどうの種類、ビンテージですので、こちらも覚えるのは大変ですが、よりシンプルと言える(かな 笑)。
つまり売り込むためにはここら辺の情報を正確に伝えなければならないわけです。それを全部好きな人は基本、日本にいることを好みますので、こちらにはいません。そして、買う側にも知識が必要なので、なかなかハードルが高い。もちろん中国人だとお話しにならない。この日本酒の土俵に誰も上がってこれないわけ。
一方、ウィスキーは昨年、「山崎」が世界一になりました。こちらは何十種類ものお酒をブレンドして作るので、日本人の大得意分野なわけです。日本酒と同じように非常に複雑でテクニカルなはずなのに、相手の土俵なので簡単に認められるわけですね。日本人の勤勉さとサントリーという大資本が見事にマッチした勝利なわけです。日本酒だけが認められるのが難しいのはここの部分なわけですね。ではどうするべきか?
やはり業界自体で変わっていく必要があるかなと。柔道がJudoとなって、さまざまな問題が発生するような危惧はあり得るが、やはり痛みを伴ってでも前に進まないといけない。なぜならお米は世界中で獲れるわけだし、美味しいと思うものだから伝える価値があると思います。例えばテロワールの概念で「水」と「お米」の土地をブランディング化したり、本醸造やら純米やらの名前を「わかりやすく」変えることだと思うんです。まずは伝えること。そのことをしやすくするためにはどうするか?の順序です。日本人にとっても同じですけどね。日本酒の格付けを明確にすることだと思う。結局、最後は好みだし。だからこそ基準を作って、自分のポジションをわかりやすくすることは助けになる。
そして、ある酒蔵さんが言ってました。「日本酒は減点法だから幅が広がらない」つまり、もっと個性的な味を出せる余地がたくさんあるわけです。この言葉が彼らの口から出てしまうことは非常に寂しい。日本人の器用さがマイナスに出てしまっている。近年はグラスに合う日本酒コンテストなど、少しずつ幅が広がっているのは確か。しかし、まだまだ足りない。この技術をどう活かすかは大きな課題ですね。
写真は古酒をバニラアイスに。イタリア人にも大好評で、何より超甘党の自分に大ヒットでした。