スウェーデンの幸福世界一の哲学「ヤンテの掟」

3/27、イタリアのコロナウィルスに因る死亡者は969人と過去最高を記録しました。合計死亡者は9134人。ここ3日間で数字が安定していた分、ピークが来たと願っていたのですが、来ませんでした。スペインもかなり厳しい状態です。本日の死亡者が773人で、合計が5000人を超えています。ちなみ中国は3292人の死亡者です。

スペインの保険省は中国企業から購入した簡易検査キット約58000個を返品したようです。誰もが喉から手が出るほど欲しいものが返品されるとは…

一方で、相変わらず学校で授業が行われ、会社もリモートを増やしつつ平常運転。ロックダウンがされていない国がスウェーデンです。ニュースの裏を取ろうとサーチして見ましたが環境活動家のグレタさんしか出てこない。

本題です。先日、スウェーデン在住9年の方にインタビューを行いました。詳細は下記のリンクから。

インタビュー後半もありますのでぜひ。

我々のイメージとしては、憧れの先進国。教育、医療、ITなどまさに近代的なイメージ。人口約1000万人と小回りの効く、多くの日本じが憧れる現代的な国家のイメージです。

ですがやはりイメージと現実は違うものであり、私の知らない長所短所が沢山ありました。その中で一番気になったのが「ヤンテの掟(Law of Jante)」です。北欧通の中では、常識中の常識だと思われる10カ条です。

そして、もう一つ結構な人が北欧って一括りにしちゃってますけど、それぞれ文化が違って差が見えると面白いです(その動画はまた後日)。東南アジアをまとめられるのと一緒ですよね。顔もそれぞれ違うらしいのですが、私は少なくともわかりません…(仕事でストックホルムとコペンハーゲンは何度も行ってましたが…)

話は戻りまして、こちらがヤンテの10カ条です。wikipediaより引用。

自分を一角の人物だと思ってはならない

自分のことを、私たちよりも優れていると思い上がるな

自分のことを、私たちよりも頭がよいと思ってはならない

自分のことを、私たちと同じくらい価値があると想像し、自惚れに浸ってはならない

自分のことを、私たちよりも多くを知っていると思ってはならない

自分のことを、私たちよりも重要であると思ってはならない

自分のことを、大物だと思ってはならない

私たちの事を笑ってはならない

私たちの誰かが自分のことを気にかけていると思ってはならない

私たちに何かしら教えることができると思ってはならない

「自分だけが良ければいい」ことに対して批判的で、謙虚な部分が日本人のメンタリティと非常によく似ています。多くの日本人に好まれる理由はここから来ている気がします。これは1933年の実話小説で登場した10カ条です。

常日頃からミラノで生活していて「自分さえ良ければそれでいい」文化を痛感している自分にとって、同じヨーロッパでも飛行機で数時間飛ぶだけで、ここまで違うものかと感心しました。でも、寒いのはちょっと厳しい…

コンテとマクロンのスピーチを比べてみる。

3/13現在(昨日比) 死亡者:1266人(+250) 現在感染者:14955人(+2116) 完治:1439人(+181) 感染者、完治者は検査数に比例、一方死亡者は緩やかに上昇。本日の検査数11477件。

スペインあたりが怪しくなってきましたね。フランスも黄信号。ラテン系は家族の繋がりが強いから、世代間を超えて感染してしまう。一方でドイツは踏ん張っていますね。数字からだと結果論なので、非常に見えづらい。全部の国をカバーするのは不可能です。

一昨日、イタリア首相コンテの会見がありました。昨日、フランス大統領マクロンの会見がありました。この二人のスピーチの中身があまりにも違ったので紹介したいと思います。

まずはイタリア首相コンテさん(55歳)

  • 会見時間は9分。
  • 医療従事者への感謝
  • 国に現状に触れる
  • 全イタリアを封鎖
  • 全てのお店(バール、レストラン、美容院等)を営業停止
  • スーパーと薬局は営業。だから焦るな。
  • 必要な場合を除き、家から出ては行けない
  • 習慣を変えるのは難しいが、2週間頑張ってくれ
  • イタリアは誇り高き国だ、今こそ全員で乗り切ろう

的な内容でした。一方でフランス大統領のマクロんさん(42歳)

  • 会見時間は25分
  • 国の現状に触れる
  • 医療従事者への感謝
  • 怒る/不安になる必要もない→国民を落ち着かせる
  • 科学的に基づいた対応をし、ウィルスと闘う必要がある
  • 一番大事なことは「脆弱な人を守ること」:70歳以上、呼吸器系に疾患がある人
  • 上記の人とのコンタクトを最小限にすること
  • 次に大事なことは、拡散を防ぐことである
  • そのために3/13より学校を閉鎖する。期間は未定。
  • 会社はテレワークにし、必要な場合は距離を保つ。
  • 集会は最低限にしなければならない
  • 健康に値段は付けられない、政府はありとあらゆる手段で病人を助ける
  • 我々はEU全体で、研究を進めている
  • 経済的に困難が生じることはわかっている。失業や給料は国がサポートする
  • EU全体でウィルスの蔓延を阻止する
  • 二つ守ってほしいことがある
  • ナショナリストになってはいけない。これはEU全体の問題
  • 個人主義に走ってはいけない。「私」ではなく「私たち」の国としての問題
  • 手洗い、消毒を心がける。握手やハグはしない。人との距離を保つ。これが人の命を救う。
  • もう一度、お年寄りを最優先に守る。家族かもしれないが会うのを控える。胸が張り裂ける思いだろうが、必要なことなのだ。
  • 私は国民全体のことを考えている、国として。

と、両者にはかなり差がありました。マクロン大統領のスピーチは論理的、シリアス、フランスとしての誇りを感じさせるものでしたね。字幕や手話でのダイバーシティへの配慮から始まり、EU全体への言及もあり、経済面での言及と、ハイライトがしっかりしていました。久しぶりのフランス語にだいぶ苦戦しましたが、内容も非常にわかりやすくなっていました。

一方でコンテ首相はハイライトが政策の二つで、内容も今一つ。政策の論理的な説明もありません。中身の濃度が明らかに違い過ぎる。今回のコロナは、「若者には風邪以下」「基礎疾患のある高齢者には殺人ウィルス」の二面性があり、明らかに脆弱者を隔離する必要があります。そこを論理立てて上手く説明できるマクロンはデキるな!って感じですね。

フランスはこれからが正念場ですが、どうなるか見ものです。

3/12 現在のイタリアのコロナ状況を多角的に考えまくる(その2)

昨日のブログ(その1)を読んでから今回のを読んでいただけれると、スムーズに今回の「その2」に進んでいただけます。

イタリア:3/12現在(昨日比)、感染者数12,839人(+2249)、死亡者数1,016人(+189)、完治数1,258人(+213)、計15,113人(+2651)検査数が昨日今日で50000超え。検査しまくる方針は変わらないようです。

24ore

赤:合計、ピンク:感染者、黒:死亡者、緑:完治者

日当たりのデータなので、減れば下がります。3日前に感染者数が減ったように思われますが、死亡者数は変わらず、感染者数が減っただけ。検査数が少ないのでそこに比例してます。

さて本題です。今回は文化的観点から。つまりイタリア人の特徴から見ていきましょう。今回のイタリアの医療崩壊は重症患者をICUに受け入れ切れないことにあります。中心は「高齢者」です。つまり高齢者はどのような行動を取っているのかが重要になります。

イタリアの年金受給は2020年現在、67歳からです。今回の死亡者の平均年齢は81歳(1週間前の発表)ですので、年金受給者の行動パターンが大事になります。まず彼らはどこにいるのか?何をしているのか?それは、

Bar(カフェ)にお友達みんなで集まってお喋りしたり、カードゲームしたり。これは結構イタリア全土で見られます。そして、リモートワークが開始された3日前もちゃんと見られました。こちらは3/10の僕のツイート。

このような光景が北イタリアで見られるとすると、彼らの中にスプレッダーがいたとすると恐ろしいことになります。ハグやらキスやら、大声で唾を交換しまくりで長時間一緒にいるわけですから、確率はかなり高いわけですね。さらにはタバコまで吸ってる人も多い、副流煙にも慣れてる世代なので確率はさらに高まります。日本では「孤独死」という言葉があるくらいなので、文化が全く違うわけです。つまり社交的な人が多い。一方、ドイツはというと、

あまり社交的ではないようです。こちらはドイツ在住のイタリア人のツイートです。感染者が若い人中心、高齢者は孤立してるとのことです。日本に近いものがあります。現役世代は当然動き回るので感染率は高くなります。しかし、感染者の死亡率は世界的に0.2%ですで、大半は無症状or軽症で終わります。

しかし、現役世代が高齢者と多く関われば、高齢者への感染率が上がる。つまり「社会的に高齢者が孤立」していルことが、今回のコロナ騒動では優位に働きます。イタリアの現場はというと、現役世代が親世代と住んでることも多く、孫と一緒に暮らしている人も多い。特に北イタリアでは仕事があるので、一人暮らしをする必要が全くない。一方、南出身の人たちは仕事がないから、北へ出て来ているので、一人暮らしの人が多い。

ミラノに留学した時、驚いたことの一つとして、イタリア人は週末に実家へ帰る!学校に大きい鞄で来て、そのまま数時間バスや電車に乗って実家へ帰ります。家族の繋がりがめちゃめちゃ強い。日本人的感覚からするとありえない 笑。逆におじいちゃん、おばあちゃんからすると、

と、なるわけですね。なので、家でもキス/ハグしまくりだと思います。子供たちが持ち帰ったウィルスが感染する可能性はめちゃくちゃ高い。結果、

子供や孫から誰かが感染→日々のBarでお友達に感染

のパターンがかなり多いのではないでしょうか?学校は2週間前に閉まりましたが、Barは最後まで開いてました。まずはお年寄りを守る政策が完全に欠けてるんですよね。昨日のイタリア大統領のスピーチにもその視点はなかった。そして、今日のフランスのマクロン大統領は最初に「まず守るべきは脆弱な70歳以上」とはっきり明言していました。

イタリアは何をすべきだったかというと

「高齢者の隔離」

です。物理的にしないまでも、その注意喚起を絶対にするべきでした。「ただ距離を開けて」「手を洗って」では全く伝わらないし、足りない。今回はただのインフルじゃない!と、いうのは悪くないと思いますが、今回のコロナは高齢者との相性がすこぶる悪い。学校やリモートワーク推奨もありだとは思いますが、まずは高齢者への注意がないと意味がない。

次回はイタリアとフランスの大統領のスピーチを見比べて、政策の違いを検証してみたいと思います。では!

3/11現在のイタリアのコロナ状況を多角的に考えまくる

昨日時点での、総感染者数1万人超え、死亡者631人、完治数約1000人。すでに医療崩壊してることが間違いない状況で、数日前からトリアージも行われ、死者数が右肩上がり。この悲惨な状況はどうして起こってしまったのか、ありとあらゆ情報をまとめました。結論は大きく分けて二つあり、一つ目は経済的政策のミスで検査のし過ぎ、そして二つ目はイタリア人の振る舞いや性格の特徴である。

まずは日本との基本的な数値の比較から。人口と3/11(水)12時現在の状況

日本:人口1.2億人、総感染者数:552人、死亡者12人、完治数102人、検査数9195。

イタリア:人口6千万人、総感染者数10149人、死亡者数631人、完治数1004人、検査数60741。

https://www.populationpyramid.net

医者の数(千人あたり)、 日本が2.4人、イタリア4.0人 ナースの数が1000人あたり、 日本:11.3人、イタリア:6.7人 病院のベッド数が1000人あたり、 日本:13.1、イタリア:3.2 日常喫煙者(15才以上) 日本:17.7%、イタリア:19.9%。ただし日本はナースの数が実際の数はかなり少ない(寿退社等を考慮されてない)のではと、友達の医者談。ICUの数はイタリアは千人あたり3つと先進国の中では少なく元々のキャパが少ない可能性も大。

少子高齢化の進む二カ国、はっきりと明暗が別れる形となりました。日本とイタリアで死亡者数が60倍以上離れてしまいました、人口比率を加味すると、日本の人口の半分なので120倍。死亡者は圧倒的に疾患を持った高齢者です。これは世界共通。イタリアも死亡者の平均年齢は81歳、高血圧、心疾患、糖尿病の疾患がある患者が多数と発表されています。そもそものイタリアの平均寿命は82~3歳ですが…そして、そもそも平均年齢が低い、高齢者の少ない国はそもそも死亡者がほぼ出ません。

https://www.worldometers.info/coronavirus/coronavirus-age-sex-demographics/

この状況はすでに結果ですので、初動の段階のどこに要因が考えられるのか。ここで一つ目のトピックとなります。つまり「検査」ですね。検査の数を絞った日本と検査を積極的に行ったイタリア。ここでまず分かれました。結果的に検査は多くしない方が良かった。その理由は二つあって、一つ目の理由は「検査の精度」。日本ではPCR検査、イタリアではtampone(タンポーネ)と言われてますね。どちらも同じものです。2つ目はウィルスが新型だから。

PCR検査の精度(感度と特異度)は30〜80%とばらつきがあり、本来であれば事前確率(熱や咳が数日続いている症状等)に加味して検査を応用し、診断を下す。この場合の検査はあくまで参考値です。骨折とかなら間違い無いだろうけどね。そもそも「検査」というのものは、医師が診断を行うために必要なもので、決して希望者に行うものではないのであります。話を戻して、この精度の生で偽陽性(陽性なのに実は陰性)と偽陰性(逆パターン)が生まれます。

そして何よりめちゃくちゃ手間がかかります。まず綿棒のようなもので喉の奥をグリグリします。これがちゃんとできないとウィルスがいるかどうかわからない。次にこの粘膜を試験管に入れて、ウィルスの増殖させます。そしてようやく判定ができる。日本の院内検査出来るところで、早くて一日 数時間。イタリアがこれより早く出来るとは考えづらいですね。これを1日に、何百、何千とこなす事になる。リソースが取られます。現場疲弊します。精度が落ちます(少なくとも上がることは無い)。(追記)さらに検査時の適切な防護服着用が疎かになり、検者の感染率が増加→被験者の感染率アップの懸念。

次に仮に陽性でも症状がなければ自宅待機、症状が軽くても自宅待機で8割以上はこれのどちらかです。特効薬は無いので、治療法が無いのです。なので、基本解熱剤や咳止めを飲んで自宅待機。そして勝手に治る。イタリア人の性格を考えればパニックなって病院に押し寄せ、院内感染をさらに加速させることも大いに考えられます。大半の人はこれで終わります。陰性の人は晴れて街に繰り出し、偽陰性の場合はウィルスを盛大にバラまく事になります。

よって、希望者全員に検査をする意味は全くない。2/28にイタリアも症状のある人だけに絞るように政策を変更しました。それでもトータル6万。ちょっとおかしい…感染症専門の医者友達に聞いてもやっぱり異常。結果、病院はパンク。現場からの悲痛な叫びが聞こえてきます。3/9の時点でトリアージのニュースもありましたし、本当に悲惨な状況が続いています。

長くなりましたので、二つ目の特徴は次回に!

あの大震災から9年。3.11

2万人の命を奪った東北大震災から9年。あの時、すでにイタリアにいたけど本当に怖かったし、不安だった。自分は徹夜で作業をしていて、ふとTwitterを見ると、皆が地震の呟きをしていた。yahooを見ると震源地は東北だった。東京の皆んながヤバイと言ってるのに、震源地は東北?どういうこと?一瞬意味がわからなかったが、すぐに家族にスカイプで電話した。一般回線は繋がりづらかったようだけど、幸いすぐに繋がり、家族の無事を確認できた。家族はことの重大さを認識していなかったが、自分は情報を調べているうちに、衝撃的な映像ばかりが飛び込んできた。Uストリームで、キー局全てを追っていた。ひたすら街が燃えている、津波が襲っている。日本がどうなるのか不安で仕方なかった。

未だに苦しんでいる人は大勢いるのは知っている。しかし、日本はまだ日本。国レベルで言えばなんとかなった。イタリアの状況はまだ暗闇の中だけど…